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マラウイの伝統医「traditional healer」と実例紹介

マラウイには『妖術』があると信じられており、生きたカエルを使って妖術をかけます。妖術にかかってしまうと、お腹が膨れたり様々な症状を発症し、病院では治らないため伝統医療を受けることになります。日本では信じられないような体験談をご覧ください!

 

1.伝統医(Traditional healer)とは?

 

Nchimi:先祖霊(Mizimu)との交信によって、人々の症状や問題を診断・治療する伝統医

Nganga:薬草(Mankhwala)を用いて、人々の病や他の問題に対処する薬草医

 

マラウイには大きく分けて上記の2タイプが存在する。また、伝統医ではないがMfitiという妖物を使って人に妖術をかける妖術師もいる。Mfitiの妖術はNchimiにしか治すことができない。

 

2.伝統医になるには?

 

Vimbuzaと呼ばれる精霊憑依の病を経て、Nchimiとして選ばれる必要がある。

他のNchimiのもとで修行を重ね、自身がNchimiになる。

修行は短ければ2ヶ月、長ければ2年以上にもなる。

こうして伝統医(Nchimi)は生み出されてきた。

3.実際の症例ってどんなもの?

 

Nchimi K・J(37・男性・ムジンバ)の語り

1996年、学校にいたとき、私は突然黒板が見えなくなった。そして、気を失った。クラスメイトが私を担任の家に連れて行った。そこでは何も治療ができなかった。そして次に病院へ運ばれた。病院でも、なんら異常はないと言われた。私の家族は、ヴィンブザの仕業ではないかと考えた。家族は試しにヴィンブザの歌を歌ってみた。すると私は気を取り戻した。すると死んだ父がやってきて、私にこう言った。「私が送ったものがお前に見えるか」。私は「いえ、まだ見えません」と答えた。すると父は「お前がすべきことを私はこれから言おう」と言った。「私はお前に、様々な病いで苦しんでいる人々を助けるという仕事を与えよう」。「私が送るものがお前に見えるなら、もし危険なものがあれば、お前はそれを取り除かなければいけない」。「行け」。そして、私は働き始めた。「では、お前にカンジョカという名前を与えよう」、そう父は言った。私は私のおばあさんの家に入った。そして危険な呪物を取り去った。そして、おばあさんに「これはあなたの呪物ですか?」と尋ねた。彼女はそれを認めた。それが私の最初の仕事だった。父はやってきて言った。「お前がしたことを私は喜ぶ」、また父は言った、「さあ、いまからお前は私がいるところに住まなければいけない」。私は父の墓に行った。私は墓場で2週間過ごした。その間、何も口にしなかった。親族は私を探し始めた。しかし、彼らは私を見つけることができなかった。なので、彼らは息子の居場所を知るために、ンチミM・Cのところに行った。M・Cは彼らに息子は生きていて、いまは墓場にいると言った。彼らは息子を連れ出すために墓場に向かった

父は私に言った。「彼らが来る、隠れなさい」。彼らは墓場に来たが、私を見つけ出すことができなかった。私は姿を隠すための特別な薬草を使ったのだ。なので、彼らは私を見つけ出せないまま家へと帰っていった。父は言った。「お前がしたことを、私は喜ぶ」。「この木はお前を守る。もう誰もお前に妖術をかけることはできない」。そして、私は家へと戻った。家に着くと、家族は私をM・Cのところに連れて行った。M・Cは、この男はミジムによって隠されていたのだと言った。M・Cは私に治療のため彼のところに来なければいけないと言った。そして、私はそこに1ヶ月と3週間滞在した。それは私がスタンダード6で14歳のときだった。M・Cは、私が家に居られるようにするための薬を処方した。ミジムは言った。「キリマンジェロ山に行きなさい」。そして、私はルンピのジャリラに滞在し、そこの村長からキリマンジェロへ行くためのお金を受け取った。そしてキリマンジェロに着き、私は山頂に登った。そこには水があった。ミジムは言った。「その水で(身体を)洗いなさい」。私はその水で洗った。「そこにある草を採りなさい」。私は、そこにある草を採った。「そこにある木を採りなさい」。「そこにある石を取りなさい」。私は、それに従った。「火を起こしなさい」。私は、火を起こした。そして私は草と木と石を燃した。石だけが燃えなかった。私はその石を飲んだ。ミジムは言った。「お前がどこに行こうとも、お前はいいものと悪いものを判別できるだろう」。その後、強い風が吹いた。遠くの方に、私は全身白い服で覆われた人を見た。その後、私は影を見つけた。その影は言った。「影こそがミジムだ。この影が、どこへ行ってもお前の身体を守るだろう。お前はここで何も食べずに、5年間暮らさなければいけない」。2000年から2005年の間、私はキリマンジェロの山頂で暮らした。私はその間、空腹ものどの渇きも感じなかった。そして2005年の8月、私は自分の村に戻ってきたのだ。

 

Y・K(23・女性・チティパ)の語り

最初に、私は足に痛みを感じた。2013年の1月、突然痛みがやってきて、足が腫れ始めた。そして、カロンガ県北部の病院へ行った。そこで、薬を受け取った。しかし、効果はなかった。そのあと、カロンガ県中央病院へ行った。またも同じ薬を与えられたが、それも効果はなかった。そして、ンチミK・Lのところへやってきた。K・Lは私の夫の家族が私に妖術をかけたのだと診断した。夫の家族は私が自信家なのが気に食わないのだという。現在はここで治療を受け、症状は改善しているが、まだ痛みはある。

 

A・T(33・女性・カロンガ)の語り

私の問題は2001年に始まった。足が腫れていた。私は病院へ行った。そこで治療を受け、手術も受けた。そして、症状は少し収まった。しかし、まだ足の中に痛みを感じていた。病院では3日間入院した。そして、その後ここへやってきた。ンチミB・Lはそれが妖術によるものだと診断した。しかしそれは私に向けられたものではなかったとB・Lは言った。不幸にもそれは私に影響を与えてしまったのだという。そして、私はここで回復した。私はまた娘のことでも問題を抱えていた。娘の身体全体が腫れていた。B・Lは、夜、娘が寝ているときに妖術師がきて、死体を洗った水で娘の身体を洗ったのだと言った。私の父の親族が娘に妖術をかけたのだという。

 

M・M(25・女性・ムジンバ)の語り

2012年、腹痛が始まった。最初、私はミッション病院へ行った。医者は何も問題を見つけられなかった。胃の中に何か熱い物があるみたいだった。そして、私はンチミK・Kのところを訪れた。K・Kは私の腹の中になにか悪いものがあり、それは妖術から来ていると診断した。今、症状は改善している。妖術は私のおじから来ているとK・Kは言った。私の父も同じ妖術によって行方不明になっているという。私の2人のおじも、そのおじによって殺されたのだといわれた。

 

4.症例からわかること

 

・まず患者は病院へ行くが、そこでは治らない。

・Nchimiのところへ行く

・妖術との診断を受ける

・妖術をかけた人物は、大半が親族や隣人

・理由は「嫉妬」

 

5.妖物の作り方

  • 生きたカエルに特別な薬草と妖術をかけたい人の小便のついた土を飲ませる。

  • そのカエルを風船の中に入れて、それを膨らませる。

  • この妖物によって、狙った人のお腹が膨れる。

 

6.妖術の正体

病を抱えた患者は病院へ行くが、そこで治療・完治することが少ない。何度も病院通いを繰り返すうちに病院への信頼は失われ、患者はNchimiのもとへ向かう。Nchimiに妖術と診断され、伝統医療によって治療されるが、完治する保証はない。つまり、妖術はNchimiの診断によって作られたものである可能性が高い。

 

7.伝統医療の紹介

【プロテクションの施術】

  • 足首、膝、手首、肘、肩、首などの関節に剃刀で軽く傷をつける

  • そこに、配合した薬を刷り込む

  • 施術日は身体を洗ってはいけない(薬の効果を浸透させるため)

  • 翌日、洗い流す

 

文責:24-4 栄養士 大山達也

 

 

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