〜任地紹介〜 大地主が統べる僻地の村エンフェニ
今回は僕の任地であるムジンバ県エンフェニを紹介させていただきます。
マラウイの首都リロングウェからバスに乗って3時間。そこからさらにチャリマト(自転車の2人乗り)に乗ること1時間。およそ4時間で僕の任地ムジンバ県エンフェニに到着します。
最初にエンフェニという文字が出てくるのが、この学校の案内です。左上に書かれているように、エンフェニとは英語で「EMFENI」と書きます。また、1番下の行に注目して下さい。中央に「MABILABO」と書かれています。この「MABILABO」とは、TAのことを表しています。TAとはTraditional Authorityのことで、古くから土地を所有する大地主です。TAの管轄地域を表すために、このように彼らの名前が用いられています。ちなみにこの「MABILABO」、かなり広範な地域の地主であるにも関わらず、何故か電気も水もない、いわゆる僻地であるここエンフェニに住んでいます。そのおかげで(?!) なのかどうかは分かりませんが、エンフェニには町の規模の割に、公共施設が充実しています。
学校や病院、警察、農業事務所があるのは分かるんですが、何故かこの町に“法廷”があります。そして、意外と頻繁に裁判が行われています。一体この町でそんな頻繁に何について裁判をしているのか、、、謎です。
法廷に加えて不思議なものがもう1つ。“公衆電話”です。
使われているのを見たことがありません。加えて、この公衆電話を使用するにはテレホンカードのようなカードが必要なんですが、なんと、そのカードが、町に、売ってません。。。この町で通信手段が必要な人は携帯電話を持っています。電気がない中でどうやって携帯電話を使っているのかというと、ソーラーパネルを使って自家発電しています。
これがエンフェニで主に用いられているソーラーパネルです。所有しているのは一部の裕福な家庭です。ただし、自分のためだけに独占するのではなく、友人の携帯電話を充電してあげたりしています。
では、TAが住むこの町はいったいどんな町なのでしょうか?
街の中心部です。残念ながら、間違っても都会には分類されないであろう規模の町です。左右に建っているのが食料雑貨店・床屋・洋服の仕立屋などです。また、一画には市場もあります。
規模は小さいですが、これが市場です。赴任しておよそ9ヶ月が経過しましたが、「日々確実に買える野菜」はトマトのみ。。。ここに来て、食べたい物がいつでも手に入るありがたみを実感したことは言うまでもありません。
また、市場ではありませんが、病院や学校など人の集まるところでは、スコーン(手前に見えるバケツの中に入っています。)などを売っている人がいます。このお母さんたちはスコーンを売りながら、お客さんが来るのを待つ時間を利用し、セーターを編んでいます。もちろんセーターも出来上がったら売るそうです。
上記のように、一部の住民は、物を作って、販売し、収入を得ています。一方、この町に住む住民の大半は農業を営んでおり、主食であるシマの原料となるメイズは自給自足しています。そういったこともあり、雨季はみんな農作業に忙しく、住民に対する活動が難しくなったりもします。また、家族総出で農作業を行う家庭もあり、特に無償で通学可能なPrimary Schoolの生徒数が雨季には少なくなることいったことがあります。メイズの他にエンフェニでよく目にする作物は、ソヤ・トマト・オニオン・パンプキン・キャッサバ・ビーンズ・グランナッツなどです。
HIV陽性者が農業事務所スタッフ指導の下に農作物を栽培している畑。僕も一緒に種を蒔きました。(手前がソヤ、左奥の背の高いのがメイズ、右奥がグランナッツ。)
では彼らはどんなところに住んでいるのでしょうか?
これが一般的な家庭の家です。煉瓦や土壁に茅葺屋根です。ここからは屋根に注目して下さい。
この家は茅葺屋根ですが、中央付近にソーラーパネル、右側にアンテナが付けられています。おそらく、この家庭の主は、職には就いていないものの、結構な収入を得ているものと考えられます。アンテナが付いていることから分かるかもしれませんが、このような外観の家にテレビがあったりします。
出ました。トタン屋根です。この種の家の主は、職に就いている可能性が高いです。しかし、ソーラーパネルやアンテナがないことをみると、収入は「そこそこ」であると考えられます。
これがこの地域では“最高レベル”です。トタン屋根にアンテナ。しかもアンテナの数が尋常ではありません。大学を卒業し、しっかり職を手にした一部の優秀な人がこういった家に住んでいます。
そんな彼らの楽しみといえば、サッカーもしくはネットボールです。理由は分かりませんが、男子はサッカー、女子はネットボールと分けられています。先日、地域のチャンピオンを決めるサッカー大会の決勝戦が行われました。こんな僻地にも関わらずイギリス人がスポンサーとして賞金等を提供してくれているようで、大いに盛り上がりました。写真で伝わるかどうか分かりませんが、1,000人近い人が集まっていたと思います。
こんな感じで観客がサッカーコートを囲んでいます。写真撮影技術および構図などのレベルの低さに関しては目をつぶっていただけるとありがたいです。
僕もスワローズというチームに所属し、大会に出ていたのですが、残念ながら準決勝で敗れ、3位という結果に終わってしまいました。(「言われなくても分かる!」と突っ込まれそうですが、後列の左から2番目が筆者です。日本人同士で集まるとかなり色黒な部類に入るんですが、チームメイトと並ぶと白く見える…)
長くなりましたが、エンフェニとはこんな町です。赴任して9ヶ月、1人も訪問者がいないほどの僻地(場所ではなく、人間性の問題?!笑)ですが、「住めば都」という言葉の通り、今となっては何不自由なく、住民とともに日々を楽しく過ごしています。みなさんも機会があれば是非、ここエンフェニへお越し下さい!!ってわざわざエンフェニ来る機会なんてないか~(笑)
ではでは。