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村人たちの手で問題解決を。オーナーシップを伝える。

知っている人は誰もいない村。外国人は自分一人。

青年海外協力隊のコミュニティ開発隊員は地方の村に入り、慣れない現地語を駆使しながら村人と共に活動を行います。

JICAが行う土壌流出を防ぐプロジェクトに関わる橋本さん。

どうやったら村人に主体的に取り組んでもらえるか。自分たちの問題として考えてもらえるか。

協力隊やご自身の活動についてのブログを綴り、月間一万PVを得るブロガーでもある橋本さんに、これまでの活動の振り返りと、ブログについて伺いました。

ーまずは自己紹介をお願いします。

25年度2次隊として2013年10月からマラウイでコミュニティ開発隊員として活動しています。出身は東京の東大和市です。

ー具体的にはどのような活動をされていますか?

マラウイの南部ブランタイヤ県ルンズという地域で、農業普及所に所属して、JICAの技術協力プロジェクト「COVAMS(コバムス)」のモニタリングをしています。COVAMSは数年前からJICA専門家を中心に行われている土壌流出を防ぐプロジェクトで、そのプロジェクト内容である等高線栽培や植林がきちんと行われているかを村で調査したり、フォローアップするのが私の主な活動内容です。

*COVAMS(Community Vitalization and Afforestation in Middle Shire、シレ川中流域における村落振興・森林復旧プロジェクト)

ー活動経過について教えて下さい。

動き出すまでの時間がしんどかった。

私の所属する農業普及所には16人の同僚がいて、そのうち5人はCOVAMSの研修を受けていたので始めは同僚と一緒に村を回ろうとしたのですが、就業時間になっても誰もオフィスに来ないんです。来ても喋っているだけだったり。一緒に村に行くという約束をしてもすっぽかされたこともありました。バイクの燃料がない、葬式があるなどの理由で行けないこともありましたね。

私の活動は村に行かないと始まらないので、この何も出来なかった初めの二、三ヶ月は正直辛かったです。その後、自分で動き出さなきゃ始まらない、と一人でも村に行くようになりました。ところが村に行ってみるとプロジェクト名を知らない人もいました。COVAMSの技術移転としてまずは農民のリーダー的な存在のリードファーマーに教え、そこから村人に教えてもらう方法だったのですが、リードファーマーが村人に伝達していなかった村もありました。

【現状把握が一年。普及率をあげるのが二年目】

まずは現状を把握しないと何も始まらないと思い、1村の人数やそのうち何人が等高線栽培や植林を行っているかの聞き取り調査をしました。8つの村のデータが取れたのですが、行っている人と行っていない人は半々くらいという結果でした。調査の中で気づいたのは、うまくいっていない村では、村長さんやリードファーマーが乗り気でなかったり、必要性を感じていなかったことでした。だからまず利点を伝えることから始め、どれだけ自分たちの問題として考えてもらえるかに焦点をあてて話しました。

【金くれ物くれから、教えて欲しいへ】

こちらから技術を教えるだけではなく、村人の中から良い例を学んでもらおうと思いフィールドディという日を設け、村内で模範的な畑の見学会を行おうとしました。しかしまたも葬式で流れたり、いざ村に行ってみるとリードファーマーたちが南アフリカに出稼ぎに行ってしまっていたりで、力がガクッと抜けてしまうこともありましたね。でもリードファーマーと意見交換したり、ミーティングへの参加を図ったり、トレーニングを一緒にやっていけるようにこつこつとアクションを続けました。すると、始めは村に行っても金くれ、物くれ、だったのが、○○について教えて欲しいや、何々をしてみたいという相談を受けるようになって来ました。村人が自分たちのこととして考え出してくれたのが本当に嬉しかったです。

ーマラウイの大雨・洪水被害に対しての支援も行っていると伺ったのですが、どのようなことをされたのですか?

(*2015年1月月初旬から数週間にわたり降り続いていた豪雨により、マラウイ湖沿岸及び南部地域のシレ川が氾濫し、南部地域の広い範囲で大雨・洪水被害が生じた)

大雨の後近くの村を回ってみると、家が壊れている、メイズも流されている。などの訴えを聞きました。国際的な支援の手が届いていない村もあったので、何か出来ることはないかなと考え、他の隊員にも相談しました。まずは被害状況の調査を行い、村が作ったNursery School(保育所)の修復支援をすることに決めました。資金の調達には日本マラウイ協会が行っているWarm Heart Projectという援助に応募しました。

日本マラウイ協会からの資金援助で村に資材を購入し、運びましたが、その後の建設は村人みんなで行うというのが私たちの考えでした。スケジュールが進んでいるかの管理や石を運ぶなどの作業も一緒に行ってもらい、みんなのプロジェクトであるという意識を大切にしました。

Nursery Schoolの修復が始まってその村の方はすごく喜んでくれたのですが、調査はしたものの支援出来なかった村では、家はいつ直してくれるんだと村人が期待してしまったりしたこともあり、援助の難しさを感じました。

ー実は橋本さんはブログを運営されていますが、「とべ、UFO!ゆうほの協力隊ブログ(http://tobe-ufo.com/)」始めたきっかけなどを教えて下さい。

お世話になった人の報告のために仕事を辞めた直後から始めたのですが、協力隊の事前研修が始まるまで、インターンをさせて頂いたNGOでファンドレイザーの方と出会い、その方のブログを読んだり話を聞くうちに、ただの日記ではなく、読み手への情報提供、自分の価値を高める質の高い記事を書きたいと思うようになりました。協力隊、国際協力に興味がある人にわかりやすい情報を伝えることを意識して書いています。

レイアウトやSEO対策(Googleなどの検索エンジンに探されやすくすること)についても独学で色々調べて、去年の4月1日にこれまで使っていた無料のブログサイトから移転して、Wordpressというブログソフトウェアで作り始めました。お世辞にも良いとは言えないマラウイのインターネット環境だったので、ダウンロードやレイアウト作りに2週間以上かかりました。活動から帰って夜中の0時までずっとパソコンで作業をしていました。

ーブログを続けるのは大変だと思うのですが、やっていて良かったと思うことは何でしょうか?

ブログに載せてある問い合わせフォームから共感、感想を送っていただいたり、新隊員たちからブログ読みましたと言ってもらえるのは嬉しいですね。また、ブログを書くことで自分の考えをまとめるきっかけにもなります。日常でも面白いことを探そうとするから色んなことにアンテナが立つし、アウトプットすることにも慣れて来ましたね。

ブログを書く上で気をつけていることは、どんな人が書いているか伝わるブログにすることです。親しみを持ってもらえるブログを目指しています。

ー実は橋本さんはこのホームページ、E-ZikomoをWeb化にも関わられましたが、どうしてWeb化しようと思われましたか?

今まで、隊員内だけで共有されて来ただけだったので、せっかく情報量はあるのにもったいないなと思いました。「良い国だな。隊員頑張ってるな。」と一般の人にも見て欲しいと思ったので同期隊員と相談してWeb化の案を出しました。引き継いでくれた今の編集部にはこれからも新しい記事を出し続けて頑張って欲しいです。

ーマラウイでお気に入りの場所やストレス解消方法を教えて下さい。

ブランタイアにあるジェラード、ケーキなど甘い物を楽しめるジェラードカーニバルという店に時々行くのがとてもリフレッシュになっています。

あと、北部のリビングストニア。山の中にあるロッジが素晴らしく、非日常感を味わえます。

ーあと4ヶ月ほどで任期が終了しますが、今後などについて最後に一言お願いします。

活動やブログも試行錯誤を繰り返しながら徐々に成果が出てきました。粘り強く続けることが大事だなと実感しています。今後については色々悩んでいるのですが、後から振り返った時に良い決断をしたなと思えるようにしっかり悩んで決めたいですね。


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