〜旅行記〜Viva、ムランジェ山。マラウイ最高峰に挑む。
プロローグ
「こんなに厳しいとは・・・」
思わず、愚痴がこぼれる。
ムランジェ登山2日目、時刻は朝の5時過ぎ。
辺りは漆黒の闇、吐く息は寒く、ヘッドランプが照らす小さな明かりだけが頼りだ。
4時起きの身体は寒さと疲労からは完全に回復しておらず、かちこちと機械仕掛けのようなぎこちない動きを見せてくれる。
そんな厳しいコンディションの中、ムランジェ山の頂上であるサピータへの挑戦が始まった。
ムランジェ山0日目
今回、私達のパーティーは、SV(シニアボランティア)3人と青年海外協力隊3人。
それに、カウンターパートが1人、ガイドとポーターを1人づつ、計9人と言う布陣。
SVは全員60代以上であり、女性も1人含んでいたが、みなそれなりに体力には自信があり、それがポーター1人という決定にも表れている。
事前のガイドとの打ち合わせ段階ではポーターをもっと増やすように要求されたが、私達は突っぱねた。
ムランジェ山1日目
6:00
麓の隊員宅に集合。
車とバイクに別れて、登山口を目指す。
登山口までは30分くらいのだだっ広いオフロード。
7:00
登山開始。天気も良く、意気揚々と登り始める。
9:00
休憩が増え始める。
SVや女性隊員の息が荒い。
11:30
昼食タイム。
パン・クッキー・野菜・果物。
汗ばむような陽気の中、
水分のある野菜や果物が重宝される。
ちなみに、水は道中の川で補給できる。
15:00
ロッジ到着。
ログハウスのような、風情のある小屋。
到着までに、予定より2時間ほど多くかかってしまった。
17:00
シャワーを浴びた後、夕食。
インスタントラーメン、ハム、野菜など。
当然電気はなく、時間を間違えるとこんな状態になってしまうので注意。
ヘッドライトが大活躍。
19:00
外は満天の星。
天の川も南十字星もばっちり。
「ちょっと星が多すぎる」
そんな贅沢な不満をこぼした隊員も。
20:00
就寝。
電気もなく、他にすることもないので寝るしかない。
23:00
暖炉はあるのだが、薪が貴重なので、一晩中つけておくことができない。
寒さはどんどん増していき、寝袋だけでは凌ぐのは困難に。
みんなでくっつきあうようにして何とか耐える。
防寒具はなるべく沢山必要。
ムランジェ山2日目
4:00
起床。
勿論真っ暗。
前日のラーメンの汁にご飯を入れて雑炊に。
朝は温かい食べ物や飲み物が必須。
5:00
ピーク目指して、登山開始。
まだ真っ暗。
SVと女性隊員は挑戦断念。
体力に不安がある方は、スケジュールやルートについて事前にガイドとよく相談を。
6:00
岩場を這うようにして登る。
平らなところがなく、休むのも斜面で。
7:00
時には岩をくぐり抜け
7:30
時にはいばらのを避けながら。
8:00
頂上到着。
大変な思いをした分、達成感はひとしお。
大パノラマ。
雲海。
マラウイを、見下ろす気分たるや。
8:20
スケジュールの都合上、慌ただしく下山。
滑らない靴が必須。
10:30
小屋で待っていたメンバーと合流。
荷物を整理し、次の小屋に移動開始。
13:00
黙々と歩く。
ガイドが「あと30分で着くから」と言ってからの所要時間は、大体2倍か3倍。
こんなところまでマラウイアンタイム。
15:00
2日目のロッジに到着。
なかなか綺麗。
16:00〜
シャワー・夕食・就寝。
1日目とほぼ同様。
寒さも同じ。
1時間くらいしか寝られなかったメンバーも。
ムランジェ山3日目
5:00
起床、朝食。
6:00
下山開始。
8:00
疲れと寝不足で、足取りは重い。
9:00
ムランジェの固有種である、ムランジェ杉の育苗。
こんな地道な取り組みをマラウイで見られるなんて、驚き。
11:00
ムランジェの滝。
知る人ぞ知るムランジェ名物。
ここまでなら日帰りで来れるので、ハイキングに最適。
12:00
ハプニング発生。
少女が倒れている。
看護師の隊員の見立てでは、脱水症状と栄養失調。
朝から飲まず食わずで、燃料となる薪を運んでいるらしい。
休ませてジュースや水を飲ませたところ、回復。
試しに彼女が持っていた薪を持ってみると、推定30kgほどの重さ。
レジャー気分に影を差す、マラウイの負の側面。
13:00
登山口に帰還。
寝不足・筋肉痛・肩の痛み等を抱え、みんな疲労困憊。
13:30
ムランジェ1おしゃれなレストラン、ムランジェペッパーにて。
ここでピザを食べて、やっとムランジェ山が終わるのです。
エピローグ
寒さはこたえたけれど、それ以外は非常に楽しめたムランジェ登山。
遮るもののない見晴らし、ムランジェ杉の香り、豊富な水が作り出す川のせせらぎの音など、五感をフルに使って楽しめる。